首領(ドン)に迫る~笹川良一 平和のためだね、金を動かすんだよ③

40年以上前の著作からをお届けします。笹川良一さんの3回目です。笹川さんの人生、生き様にズバッと斬り込んで本音を引き出しています。
田原総一朗 2026.04.19
読者限定

田原総一朗です。テレビ朝日「トゥナイト」での対談をまとめた書籍「田原総一朗 首領に迫る」(サンマーク出版・1982年6月出版)を、サンマーク出版さんのご好意もあり、デジタルでも皆様にお届けします。

笹川良一さんへのインタビューの最後になります。文章の表現など、現在の時代背景にそぐわない部分もありますが、当時の世相を反映するものとして原文のままで配信します。

***

笹川 良一(ささがわ りょういち) 


株をやるのも、困っている人の人助け 

田原 もう一つ、笹川さんていうと、いつも株の仕手戦とかに出てきますね。あれはつまり、笹川 筋ということですね。 

笹川 これ、引っかかってはいけませんよ。株屋さんなんかでも、安い株価のときにうんと買っといて、それを高く売らなんだら、儲からんでしょ。そういう場合に、利口な人は、笹川ちゅう名前使いませんよ。 笹山、笹井、笹木とかね、佐田とか、Sの頭文字の名前で、東京、大阪、名古屋、 神戸、福岡ってなところで、少し買うんです。そうして宣伝をするんです。

田原 S氏が動いた。 

笹川 ササガワ筋が買いだした! 

田原 あ、そうか、だから嘘はついてないわけね。 

笹川 ええ、嘘はついてない。 

田原 自分も笹山とか、笹田とかいって、それをS筋というと、世の中はそれをS筋だからと......。  

笹川 そう、私が買っていると思うでしょ、これなら高くなるやろから買って儲けようと思って、だまされるわけや。 

田原 でも、実際やっていらっしゃるんでしょ。 

笹川 ええ、たまにやりますが、しょっちゅうはやりませんよ。 

田原 こんなにも金があってね、こんなに、地位も名誉もある。 もう、そんなことやんなくてもいいんじゃないですか。 

笹川 いや、そりゃ、どういうことかというと、たとえていうとね、ときどき、えー、 有閑マダムっちゅうんですかねえ。 

田原 有閑マダム? 

笹川 ええ、奥さん連中がね、だまされて、株を高いところで買わされ、安いところで売らされる。

田原 高く買わされると......。 

笹川 すると下がって損する。ご主人に見つかったら、離縁問題など起こるというようなときにね、私のとこに頼みにいらっしゃる。ね、そんなときは、私が買ってやる。そうすると株が上がる。そうしといて、逃がしてあげる。高くなったときには、あれ売っとけ、といってその人は逃がしといてね、コントロールするんですわ。 

田原 これも、人助けですか。 笹川さんだと、なんでも人助けになるわけだ。 

笹川 株だけやありませんよ。 小豆から黒砂糖から絹糸までやりますよ(商品相場)。 

田原 ほーう。 

笹川 というのはね、みんな儲けること以外に考えませんから。生産が多いと安くたたきよる。そして、生産者に損害をあたえる。 安く買っといて、高くしてね、消費者に高いもん食わしといて、ほいで儲けようと、世の中、そんなんばっかしです。そうするとね、お百姓さんがかわいそうでしょ。そういう場合に、ワシとこ頼みに来られると、ワシは、いちばん安いとこで、うんと腹いっぱい取ったる、さあ、取るぞ、とやったら高くなります。そういうときに、売らしたらええがな。ほんで、私はね、三億や五億円損してても、一年ぐらい持っとったら、その間に損はしません。 

田原 なるほど。ところで、もう一つお聞きしたいんだけども、笹川さんの姪の婿の糸山英太郎さ ん、あの人はどうしてあんなに評判悪いんですか。 

笹川 あいつはね、私の名前をフルに使う。 

田原 利用するのですか。 

笹川 いや、私のマネをしようとする。 

田原 ははあ、それはまだ無理なんですね。 

笹川 ああ、無理、無理。 子供がね、大人のマネしたらいかん。

田原 ふーん、子供ですか。 

笹川 まだまだ子供。 

田原 ふーん、いたずらをしてるわけですね。 

笹川 そう、そう。 

田原 じゃ、少し怒んなきゃいけないですね。 

笹川 おもちゃ遊びみたいや。いやあ、私の場合、手厳しいから、姪の婿であろうとね、アカの他人であろうと、こりゃみんな平等ですから、叱ります。 

田原 ふーん。せっかく参議院議員になったのに、評判悪くてやめたりね。 

笹川 それでね、世の中ってものは、 一殺多生でないといけません。 

田原 一殺多生? 

笹川 一人悪いやつを、悪い犬を殺しても、悪い豚を殺しても、多数の者を助けなあいけません。 一匹のですね、豚がコレラになったと、 それかわいそうやと、そのままおいとくとね、みんなかかりますから、一匹だけとり出して焼いてしまうというようなことをしなきゃあ。だから私の場合、楽なの。ああ、こないだもね、糸山の問題で、ワシの弟がひっかかりよった(笹川了平選挙違反)。そりゃ、二年六カ月なんて、あんなムチャクチャな裁判はありませんよ。 

田原 そうですかね。 

笹川 しかし、それでも私はね、本人によくいった。オレはね、自分の犠牲において多くを助ける、だからおまえがここで、もしも、最高裁で執行猶予になったり、また、さし戻しなんかなったら、かならず悪いこという者は、最高裁も、笹川の威力をおそれて刑を軽くしたというからね、と。

田原 裏で手を回したということになるわけですね。 

笹川  ああ、だからいかん。だからね、こんどは棄却したことによって、オレはまことにけっこうじゃと、一罰百戒だから、笹川の弟であっても、このぐらい手厳しいのやられるのやから、今後注意しなければいかんということになる。そうすると、多数の者が牢屋へ行くところを、おまえ一人が縄でくくられたために、助かる、まことにけっこうやないかと。その晩私はね、秘書と、そのセガレ集めて祝盃あげた。刑務所みたいなものは、本当に金がなかったらみな入ったらええと、楽でええいうとるから、けっこうなこっちゃというて(笑)。 

金は、儲け方よりも使い方が問題なんだよ 

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