首領(ドン)に迫る~田中清玄 逆賊の汚名を着ても、大義のために死ねる境地だ
田原総一朗です。すこし時間が空いてしまいましたが、資源派右翼といわれた田中清玄(たなか きよはる)さんとの対談の2回目です。。
この対談は既に絶版になってしまい入手困難になっているテレビ朝日「トゥナイト」での対談をまとめた書籍からの抜粋です。昭和57年(1982年)6月に出版された「田原総一朗 首領に迫る」(サンマーク出版)です。サンマーク出版さんのご好意もあり、デジタルでも皆様にお届けできることを嬉しく思っています。
私、田原総一朗が各界の首領(ドン)たちに、気概や日本への思いなどをインタビューして鋭く斬り込んでいく内容です。文章の表現など、現在の時代背景にそぐわない部分もありますが、当時の世相を反映するものとして原文のままで配信します。
田中清玄(たなか きよはる)

笹川や児玉と同列に置かれちゃたまらんよ
田原 田中さんは自分自身をどう思いますか。 フィクサーとか黒幕とか、たとえば児玉誉士夫さんとか、笹川良一さんと、どこが違いますか。
田中 僕は名声欲、権力欲、金銭欲で働かん。民族を念じ、人を愛し、アジアを愛し、人類を愛してるか、この差だ。
田原 でもまあ、笹川さんもね、人類みな兄弟とかいうでしょ。
田中 笹川はね、国粋大衆党をつくって、戦前、ヒットラーを連れてきて、会津の白虎隊とこでね、 壮大なデモンストレーションやらせた。 それから、ムッソリーニのところには、羽織、袴で行って、日本刀を献上した。日本を戦争に巻きこんで、天皇陛下をね、戦犯にする。処刑されるような危険 な戦争に巻きこんだ元凶でしょ、笹川は。 それがね、勲一等をもらうとはね。勲一等やったのは、 首相が福田のときだなあ。 閣議で決めて勲一等をおあげするのは、陛下ご自身でしょう。陛下、ど んな気持ちで見られたか。陛下は、あのとおり英明な方で、戦争にも反対であった。敗戦宣言もやられた。しかも、マッカーサーのところへ行って、「戦争の責任は自分にある。国民にない」とおっ しゃって、 マッカーサーも感銘した。マッカーサーが調べたら、戦争の元凶でもなんでもない。そういう原因をつくったやつがほかにいた。それ に勲一等やるとはね。競艇っていうバクチの上 がりで儲けたんだろ。こんな日本ってのは、どうかしてるんじゃないの。
田原 笹川さんは、世界のため、日本の平和の ために努力してるんだと、こういってますけど ね。
田中 そりゃ、はっきりと、オレは国粋大衆党 をつくって、日本を戦争に巻きこんだ元凶の一 人だ、その罪ほろぼしをやるんだって、なんでいえない。
田原 児玉さんはどうですか。
田中 児玉ってのは、問題にするにも足らない でしょ、犯罪人にもなってるしね。
田原 しかし、日本では、ずっと児玉さんは、 黒幕というか、日本の政治を動かしている大物だというふうに、みんな思ってますね。
田中 はっきりいいますけどね、児玉が、 河野一郎とくっつき、大野伴睦とくっつき、ヤクザを動かしていた。あの頃は、各会社、マスメディアの人たちも、児玉に対して、日参したり、おべっかいってたね。いったん犯罪人になったら、馬車を連ねてヤジ馬だ。
田原 ヤジ馬、なるほどねえ。
田中 それでね、このあいだ中国の鄧小平と話した。そのとき日本人の欠点ということを話したんだが、池におぼれてる犬に石をぶっつけるのは、日本人だと。おれが日本共産党をいやになったのは、宮本顕治のやり方を見ると、池に溺れている犬に石ぶっつけるようなやり方なんだ、あの袴田に対してもね。中国では、溺れる者は助けてやれという諺があると、だから、私は溺れた犬に石ぶっつけたくない。いま児玉の話したくないのはね、犯罪人になってるからだよ。それに、はっきりいってね、オレの命を狙ったヤツだ。そういう人間のことをね、このテレビで貴重な電力を使って話したくないでしょ。
