「保守化」は「言論統制」なのか 高市自民党に「これだけは言いたい!」

日本の民主主義はどうなってしまうのか。トランプ氏が米国で行っているような「民主主義を壊す」ということをどう考えるべきなのか。自民党や日本社会の現状から考えてみました。2回目の「これだけは言いたい!」です。
田原総一朗 2025.12.14
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今回の「これだけは言いたい!」も高市早苗総理のことから始めたい。日本の民主主義にも関わる話だから。

デモクラシーのない国にしようとしている?

高市政権が掲げている国家情報局やスパイ防止法、あれは日本にとって危険だと思う。全部。日本はそういうことを今までやらなかった。要するに高市さんが狙っているのは、日本を守るということでなく、日本を従来型のデモクラシーのない国にするのを狙っているのではないかと思ってしまう。高市さんの政権が続けば、デモクラシーのない日本になるのではないかと、僕は本気で危惧している。

実際、彼女の口からは民主主義とは何かということを聞いたことがない。彼女自身が民主主義をどのように考えているのかが分からない。民主主義というのは大きな問題も抱えているが、同時に、社会にとっても日本にとっても大切なことだ。なぜかといえば、民主主義社会では、色々な人が色々な意見を言うことができる。これにつきる。

ただその反面、色々な意見が出てくることになるから、どうするかが決まらないということもある。だから、その文脈に沿っていうと「民主主義を壊さないと何かを迅速に決めることができない」ということも確かに一理ある。実際に民主主義を壊すこと、それはつまり、トランプ米大統領が明らかにやっていることになる。民主主義国家の議会では多様な人の意見が出てくるから、代表的な民主主義国家であるアメリカがどう進むべきかというのを、迅速に決めてこられなかった場面もあった。トランプ氏は大統領になって、「民主主義を壊す」ことで、色々なことを速いスピードで決めている。そういう行動、速さが国民には受けているわけだ。でも、いまトランプ氏が実行していること、それが民主主義の行き着く先かというと、それは違うと思う。民主主義の破壊だから。僕はそれは健全でないと思うし、いまでも「私が民主主義を先頭に立って守る」と言いたい。

たしかに、多くの入り組んだ問題を抱える社会では、民主的なプロセスだけではどうにも決まり切らないという側面があるというのはあらわになってきている。でも、早く決めればいいのか。異論を封じればいいのか。日本がどうすべきか、しっかり考えないといけないと思う。

政府効率化局という構想もあって、無駄を省く方針のようだね。そこのトップを片山さつきさんがやるようなので、とても期待している。ただ、無駄遣いをなくすというのはとても難しい。無駄遣いを完全になくすということを突き詰めると、強権的な全体主義的な手法につながりかねないという懸念もある。

批判=「反日」という風潮

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